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定期借家契約とは
「定期借家契約」は、「定期」という文字通り期間満了によって契約が終了する契約です。
定期借家契約の概要
定期借家契約の概要
- 契約期間の満了により更新することなく終了する。(貸主の合意があれば再契約が可能)
- 契約期間中の途中解約は原則認めらない。ただし、床面積200㎡未満の居住用建物については特別の事情(転勤・療養・介護など)がある場合は、借主からの途中解約が認めらる。また、「当事者間で合意すれば途中解約ができる特約」があれば解約可能。
- 1年未満の期間でも契約が可能。
定期借家契約は、貸主が定めた契約期間が満了すると退去しなければならないので、「期間限定の住まい」というイメージです。長期的に住みたい場合は、「普通借家契約」を選びましょう。
貸主の合意があれば再契約できますが、再契約の相談や交渉をしても、当初の契約通り終了という形で拒否されることもあります。
定期借家契約期間中に貸主からの一方的な解約はできない
定期借家契約は貸主側に有利な契約形態ですが、一方的に契約期間中でも契約を終了させて借主を追い出すことは原則できません。
借地借家法で、借主に不利なものは無効になるように保護されています。
- 建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6ヶ月前までの間(通知期間)に、建物の賃借人に対し、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。借地借家法第38条 第4項(一部抜粋)
- 前2項の規定(賃貸人からの解約通知は書面による交付)に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。借地借家法第38条 第6項(一部抜粋)
貸主からの解約は、通知してから最低6ヶ月後に契約終了になります。
普通借家契約との違い
普通借家契約は、一般的な賃貸物件の契約形態です。
定期借家契約との違いを表にしてみました。
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ー | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
契約方法 | 書面と口頭のいずれかで契約 | 書面による契約 |
契約期間 | 原則2年 | 貸主が自由に設定 |
契約更新 | 更新できる | 原則できない |
1年未満の契約 | 期間の定めのない契約とみなされる | 1年未満の契約もできる |
借主からの中途解約 | 特約に従う (原則、退去する1ヶ月前に申告) | 原則できない ・床面積200㎡未満の居住用の建物で、やむを得ない事情の場合はできる(それ以外は特約に従う) |
貸主からの解約 | 原則できない | 1年~6ヶ月前 |
契約期間1年未満の定期借家契約では、貸主からの解約通知はありません。
普通借家契約は、借主が継続して住むことを希望すれば原則住み続けることができる、法律的にも借主が守られた契約形態です。特段の事情がなければ貸主から解約の通知もなく、借主は解約したい日の1ヶ月前(or2ヶ月前)に通知をすれば退去することができます。
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定期借家のメリット
定期借家契約の主なメリットは以下になります。
相場よりも家賃が安い傾向がある
家賃が相場より安い傾向にあるのが、定期借家契約を選ぶ一番のメリットになります。
定期借家契約は借主が更新を希望できないなど、普通借家契約より借主に対して制限があるため家賃等が安く設定されている傾向があります。
貸主としては、ちょっとした期間でも家賃収入を得たいという考えがあるということです。
設備含めてグレードがいい物件が多い傾向
定期借家契約は分譲マンションに多いので、設備などのグレードが高い傾向にあります。
新築マンションを購入したけど、所有者の急な転勤で定期借家として募集されるケースなどがあります。
>> 【関連記事】分譲賃貸はやめた方がいい?デメリットや注意点について
契約期間に制約はあるものの、快適に住めるのが定期借家契約のメリットの1つです。
まれに貸主の急な転勤により、購入したばかりの新築戸建てが賃貸募集されていることもあります。過去に1回だけ取引として経験しました。(正直羨ましかった…)
契約期間中の更新手続きが不要
例えば、定期借家契約の期間が「3年」の場合、3年間は特段手続きの必要がなく、費用もかかりません。
一方、普通賃貸契約では、一般的な契約期間の2年後に更新をする場合、更新料を払う必要があります。
契約期間が長ければ長いほど、更新料が発生しないという面ではメリットですよね。
再契約型の定期借家契約の物件もある
賃貸募集の条件として、最初から再契約ができる前提の物件もあります。
貸主としては、当面物件を使う予定がないケースです。
あくまで「定期借家契約」です。契約期間満了とともに退去しなければならないことは想定しておきましょう。契約書の特約内容含めて、契約前に確認は必須です。
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定期借家のデメリット
定期借家契約のデメリットは以下になります。
継続して住み続けることはできない
「定期」の賃貸契約なので、契約期間が定められていて原則延長はできません。
物件を気に入って長く住みたいと思っても、希望は叶わないことを予め理解しておきましょう。
貸主としては定期借家契約がリスクヘッジになる
借主(入居者)には、家賃滞納やマナーが良くない方もいます。
定期借家契約にしておけば再契約せずに退去させることができるメリットがあります。
つまり、定期借家契約にすることで、専有部はもちろん外部環境も良好に保つことができます。
借主のデメリットが貸主にとってのメリットとなります。
契約期間の途中で解約することはできない
前述の通り定期借家契約は、原則として途中解約ができません。
途中解約の申入れができるのは、床面積200㎡未満の居住用の建物で、特別な事情(転勤・療養・介護など)のみに限られています。
特別な事情以外の理由で途中解約をする場合は、残り期間の全家賃を払うことや、違約金を払う必要になることもあります。
契約前に、途中解約をした場合の違約金について確認をしておきましょう。
再契約の場合、初期費用が必要な場合もある
定期借家契約の期間満了後に再契約する場合、再び初期費用が必要になる場合があります。
以下のような初期費用が再び必要になります。
再契約とは「新しい契約」を結びなおすという意味になるので、再び初期費用が必要になるということです。
貸主や管理会社次第では、再契約手数料として家賃の1ヶ月分or0.5ヶ月分のみ頂戴して、敷金と礼金は当初の契約のまま据え置く場合もあります。
念のため契約前に、再契約する場合の費用も確認しておきましょう。
入居中の家賃交渉などできない
定期借家契約をする場合は、契約期間中の家賃交渉はできないことを理解しておきましょう。
前述の通り、定期借家契約では契約期間が予め決まっている分、相場より家賃を下げているので家賃交渉は基本的にできません。
>> 【関連記事】家賃交渉したらいくら下がるの?|交渉のポイント6選
契約書の特約などを事前に確認しておきましょう。ときどき家賃について特約で記載されている場合があります。
「定期借家契約はデメリットもあるけど、グレードの高い空間に住めるから全然ありかな。他にも物件あると思うから、もうちょっとみてみようかな。不動産会社に空室確認とかしなくちゃ…。」
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定期借家と相性がいい人と良くない人
ここでは、定期借家契約と相性がいい人と良くない人について解説します。
「定期借家契約」と相性が良い人
契約内容を理解した上で、さまざま面での「期間限定」を楽しめる人が定期借家契約との相性が良い人だと思います。
- 期間限定で住みたい人(期間限定を楽しめる人)
- 定期借家契約の内容をしっかりと理解して、判断できる人
- 分譲マンションのようなグレードが高い物件に一度住んでみたいと考えている人
「定期借家契約」と相性が悪い人
これまで解説してきた定期借家契約における制約を受け入れて生活できるかがポイントです。
以下のような考え方やパーソナル部分含めた人には、デメリットと感じてしまうと思います。
- 柔軟に住み替えたいと考えている人
- 家賃の安さにつられて物件を決めてしまう人
- 一つの物件に愛着が湧き、引越しに億劫になりがちな人
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定期借家で後悔する人の特徴
定期借家で後悔する人の特徴を以下に記載しました。
同棲カップルやファミリー層
これから同棲するカップルや子供のいる家族には、定期借家契約との相性はあまり良くありません。
特に、子供がいる世帯は、子供の成長するにつれて手狭になったりするので、同じ物件で長く住みたいと考えている家族には向いていません。
賃貸では普通借家契約がいいですし、購入する選択肢もありです。購入すれば、資産にもなりますし、子供がいくら部屋を汚したり傷つけても問題ありません。
↓自分が買える金額が一体いくらなんだろう?という方は以下の記事を参考にしてください↓
>> 【関連記事】マンション購入における予算の組み方|これを見れば安心
転勤などがなく、生活が安定している人
転勤などがないと、転職しない限り職場の場所も変わりません。
しかし定期借家契約だと、生活リズムが慣れてきたのに退去しなければいけない場合などがあります。
契約の内容を理解して適切な判断ができない人
定期借家契約に限ったことではないですが、契約の内容をよく理解して入居しないとトラブルに発展する場合があります。
賃貸借契約書などは、自宅の分かりやすい場所に保管しておきましょう。
定期的に内容を確認することを習慣にしてもいいかもしれません。
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定期借家の物件で後悔した体験談
ここでは、一般の方が実際に体験した、定期借家契約に関する困り事や相談内容を記載しました。
定期借家契約一つ取っても、さまざまなトラブルが発生していることが分かります。
契約満了まで家賃と住宅ローンを払う羽目に
定期借家契約について 2021年から2026年の5年定期借家に住んでいます。 定期借家の決まりを理解せずに、 自宅を購入しました。 来月から住宅ローンがはじまります。 今の借家から15分くらいの近所に購入しました。 引っ越そうと思って、今の借家の契約書をみたのですが、今更にふと… 自宅を買ってはいけなかったのでは?! と気づきました。 パニックです。 契約満了まで家賃を払い続け、 さらに住宅ローンを払うことは難しいです。 なにか出来ることはありませんでしょうか… 無知でしたが、対応できません…
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契約満了の2ヶ月前に解約通知を受けた
定期借家でマンションの一室を借りています。 2022年12月9日でちょうど6年になります。(3年契約) 契約終了の半年前に管理会社の東急リ○○ルから「定期建物賃貸借期間満了のご案内」が届きました。 案内には、次回の再契約で賃料月額が1,000円増加すると記載がありましたがそれくらいならと再契約希望として書類を送り返しました。(大家の会社も再契約希望との返事があったそうです) ところが、つい先日10月6日に管理会社(東急リ○○ル)から電話がかかってきて下記のように言われました。 「大家の会社から連絡があり、定期借家は会社決定で止める事にする。全ての部屋を普通借家に切り替えるから12月の再契約は無し。引き続き住み続けたいなら普通借家に切り替えてもらい家賃を月額2万円増額します。敷金も上乗せしてもらいます。気に入らないなら退去してくださいとのことです。」 急にそんなことを言われても、家賃2万円の増額なんて受け入れられないし引っ越しなんてできません。 せめて、あと半年でも今の条件のまま住まわせていただきその間に引っ越しの準備をしたいですと大家に交渉を依頼したのですが、本日戻ってきた返答は「会社決定に変更はありません。期間満了の12月9日までに退居してください」とのことでした。 定期借家は契約満了で再契約できないこともあるのは理解しておりましたが、期限の2ヶ月前にいきなり条件を変えてきてそれを飲めないなら出ていけというのは許される事なのでしょうか・・? 弁護士に間に入ってもらう事も検討しておりますが、法的にこちらが泣き寝入りするしかないようであればそれも無駄になるのかもしれないと悩んでいます。
YAHOO知恵袋
「賃貸期間が1年以上の場合には、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、期間の満了により定期借家契約が終了することを通知しなくてはならない」という借地借家法38条4項に明記があるので、解約通知を受けてから6ヶ月後に退去するという交渉をしてみましょう。
通知日から5ヶ月後に契約満了の設定になっている
マンションの取り壊しにより、退去通知が届きました。 今の物件に住んでから地震や老朽化等があり、管理会社からのお願いで途中から1年更新の定期借家契約に変更してます。 そのうち取り壊すんだろうなと思っていたのですが、今回届いた退去通知に書いてある契約終了日が5ヶ月後なんですが、これは契約違反じゃないのですか? その場合は、宅建協会に相談したらいいですか?
YAHOO知恵袋
1年未満の定期借家契約だと、終了通知の義務はないので契約違反にはないんです。まず、契約期間を確認しましょう。
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定期借家として募集されている理由
定期借家契約が用いられる理由にも注目しておきましょう。
基本的には、いずれ貸主(所有者)が自己利用する予定があるので定期借家契約にしていますが、それ以外にも理由があるので解説していきます。
普通借家契約では借主を保護されているので、明け渡しがスムーズにいかないことがあります。
貸主の高齢化によりマンションに移り住むから
少子高齢化に突入している昨今、増えてくるケースです。
貸主本人が高齢といこともあり、より利便性のいいマンションに住まわせるケースも増えてくると思います。
転勤で一定期間住まないから
購入後に転勤や海外赴任が決まった場合に、賃貸不動産として家賃収益を得るために賃貸に出します。
つまり、転勤が終了すれば自己利用する予定がある貸主です。
普通借家契約にすると入居者が退去するまで待つ必要があるため、自分のタイミングで使うことができません。
取り壊しの予定があるから
老朽化などに伴い、建物自体の取り壊しまでの期間限定で定期借家契約として募集しているケースです。
不動産会社から貰う物件資料にも記載があると思いますが、詳細はよくヒアリングしておきましょう。
取り壊しはしないまでも、大規模かつ数年に渡る長期的な長期修繕工事の予定がある場合でも、貸主次第で賃貸に出すケースがあります。
マナーの悪い入居者を退去させることができるから
前述の通り、定期借家契約にすることで、万が一部屋の使い方や近隣住民に対するマナーがない入居者だった場合に効果的な契約形態です。
長くても最悪期間満了まで待てば、退去していきます。
定期借家契約は、物件内外の入居者を守ることでもあります。
逆にトラブルなどがなければ再契約する選択もできます。
【関連記事】原状回復と現状回復は同じ?違う?|トラブル事例も紹介
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まとめ
今回は、定期借家契約について解説しました。
定期借家契約は、リスク含めて契約内容の特徴を理解できれば、「期間限定」を好条件で住める可能性のある契約形態です。
気に入った物件が定期借家の場合、やめた方がいい理由が自分にとってリスクがあるか確認しましょう。
この記事で定期借家のメリットとデメリットについて理解して頂ければ嬉しいです。
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