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原状回復が正しい表記
冒頭の「げんじょう回復」に関する結論としては、「原状回復」という表記が正解です。
「原状回復」と「現状回復」について、それぞれの言葉の意味について解説します。
原状回復とは
原状とは、「元の状態」や「以前の形」を表す言葉です。
つまり、「原状回復」とは「元の状態に戻す」ということを意味します。
現状回復とは
一方で、「現状」とは、そのままの意味で「現在の状態」を表す言葉です。
したがって、「現状回復」だと現在の状態に戻すという意味になり、「退去時のままにする」とも取れてしまうので、そもそも全く意味が違ってしまいます。
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賃貸物件における原状回復とは
ここでは、賃貸借契約における原状回復について解説していきます。
言葉の意味では「元に戻す」ということになりますが、賃貸借契約上では少しニュアンスが変わってきます。
原状回復の範囲
借主や入居者の負担による原状回復の対象になるのは以下になります。
- ペットによる柱等を傷付けた場合
- エアコンから水漏れが発生し、そのまま放置したことによる床や壁の腐食した場合
後述しますが、借主の原状回復の範囲は壁に貼ったポスターの跡やテレビ裏の電気の背面焼けなどは、原状回復の範囲には入りません。
通常の使用方法の汚れとなります。
綺麗な状態を保つ前提ですが、適切な使い方をしていても壁紙や床などは、どうしても経年とともに劣化してしまいます。
しかし、それらも含めて借主または入居者負担になってしまうわけではないことは理解しておきましょう。
経年劣化とは
経年劣化は、時間の経過によって壁や床などの物の価値が落ちていくことをいいます。
日光による変色、浴室やトイレの黄ばみなど設備関係も経年劣化の対象になります。
経年劣化と自然損耗の違い
自然損耗は、日常生活で使用していく上で避けられない小さな傷や損傷をいいます。
経年劣化は、年月の経過に応じて自然に損耗していくことを指すのに対し、通常損耗の場合は、部屋を通常利用することで発生する傷などを指します。(経年劣化と通常損耗はどちらも貸主負担)
棚やベッド、テーブルなどを置くと床に凹みなどの傷は普通に生活する上で仕方なくついた傷とみなされ、「自然損耗の対象」です。ただし、普通に生活してたら付かないような傷は、「特別損耗」になり、借主または入居者の費用負担になってしまいます。
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原状回復のガイドライン
退去後の原状回復の費用負担において、貸主と借主間でトラブルが増加している経緯を受け、国土交通省が一般的な基準を、平成10年3月にガイドラインとして取りまとめました。
追加改定された原状回復ガイドライン
平成16年2月及び平成23年8月に追加改定された原状回復ガイドラインでは、次のように原状回復を定義しています。
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
引用:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
と定義して、その費用は借主負担となりました。
言い換えれば原状回復は、「借主または入居者が借り始めた当時の状態に全てを戻すことではない」ということです。
改正民法の原状回復に関する明記
令和2年4月の改正民法では、次のように原状回復について明記されました。
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
第621条にある「原状に復する」のことを原状回復といい、「原状に復する義務」のことを原状回復義務といいます。
引用:民法第621条
言葉の意味における「原状回復」と、不動産あるいわ法律における「原状回復」の意味が違うことが分かります。
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原状回復費用と敷金の関係性
修繕箇所と費用按分が決まり次第、原状回復費用が決まる
契約時に預けている敷金の返還額と原状回復費用が決まるのは、退去立会いの後になります。
修繕すべき箇所が決まり、貸主と借主が修繕費用の按分について、双方に合意すると原状回復費用と敷金の返還額が確定します。
原状回復費用と敷金は密接に関係しているということです。
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敷金がない場合
募集物件の条件では、敷金ゼロの物件があります。
敷金ゼロは必ずしもメリットではない
「敷金ゼロ」という言葉をみると、初期費用を削減できるメリットを感じてしまいます。
しかし、退去時に原状回復費用が発生した場合は、その全額を払う必要があります。
敷金ゼロの物件を契約する場合は、退去時を想定して一定の資金を残しておきましょう。
退去時は引越し費用や新居における契約時の初期費用など、出費が重なるので注意しましょう。
契約時に預けるのか退去時に払うのかという、お金が出ていくタイミングの違いがあるということです。
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原状回復費用をめぐるトラブル事例
実際の相談事例も紹介しておきます。
直近の相談事例
独立行政法人 国民生活センターによると、敷金と原状回復をめぐるトラブルの相談は全国から多数寄せられています(8,759件/2022年)。
直近の相談事例を以下に掲載しておきます。
直近の相談事例
- 賃貸アパートを退去後、原状回復費用の清算書が届いた。入居時から傷ついていた床等の原状回復も求められ納得いかない。
- 10年以上住んだ賃貸アパートを退去したらクロスの張替えなど高額な原状回復費を請求された。全額支払う必要があるのか。
- 6カ月居住した賃貸アパートを退去した。玄関の壁紙のわずかな傷で全面の張替え費用を請求され不満だ。
- 管理会社の了解を得て賃貸マンションの光回線工事をしたが、退去時に、工事は許可していないと言われ、原状回復費用を請求された。
- 賃貸マンションを退去したところ、高額なハウスクリーニング代を請求された。納得できない。
大なり小なり不動産会社側の契約時の説明不足による誤解やトラブルは普段から起きています。
借主または入居者も契約内容に不明点があれば、契約時または入居中でも相談・確認を徹底しましょう。
一般的な賃貸借契約では、敷金からハウスクリーニング代(目安1,100円/平米)が差し引かれてしまいます。これは、契約書内で基本条項以外に交わしたい取り決めがある場合に明記する特約条項に、「退去時は借主負担でハウスクリーニングやエアコンクリーニングなどを行う」という記載があるためです。その費用も「原状回復費用の一部」として敷金から差し引かれます。
どんなに綺麗に使用していても退去時に必ずかかってくる費用です。借主が勘違いをしていて、時々、原状回復におけるトラブルに発展するケースです。
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購入すれば原状回復のトラブルはゼロ
最後に、原状回復トラブルに巻き込まれたくなければ、購入しましょう。
原状回復の義務がない
当然ですが、購入すれば自分の所有物なので原状回復の義務がなくなります。
専有部に傷を付けても問題ないし、戸建てであれば内外装を自由に手を加えることができるんです。
しかもまだまだ低金利下なので、住宅ローンも組みやすい状況です。
賃貸物件に入居中の方は、家賃を一つの目安にして「借り入れ可能額」と「無理なく返済できる借入額」に付いて調べて見ましょう。
マンションを購入したら、マンションのルールを遵守しながら、必要に応じて修繕やリフォームができます。