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購入時には諸費用も考慮する
住宅の購入には物件金額と別に諸費用がかかります。新築や中古で変わりますが、一般的には物件価格の5~10%かかります。
ローンの種類などでかかる費用が違いますが、諸費用の内訳としては次のようなものがあります。
- 仲介手数料(物件価格の税別3%+6万円が上限)
- 印紙税、不動産取得税、登録免許税、司法書士報酬
- ローン保証料 、登録免許税、司法書士報酬、融資手数料、火災保険料、地震保険料
- 団体信用生命保険料
印紙税や登録免許税、司法書士報酬は「住宅購入時」と「住宅ローン利用時」にそれぞれかかります。
購入後の支出は住宅ローンの返済に加えて、維持費となる「固定資産税・都市計画税」などがかかります。
マンションでは、契約駐車場代や建物全体の維持費や修繕費として、管理費・修繕積立金も毎月払います。戸建てにおいては、自身で月々1~2万円ほど建物の修繕費として積立をしておくといいと思います!
維持費には、設備が故障した時に修繕費や生活費、子供もいれば教育費、親に何かあれば介護費なども加わってきます。
予め試算に入れておくことで、より具体的な資金計画ができるようになります。
金利タイプは3種類
住宅ローンには、次の3種類の金利タイプがあります。
それぞれ特徴を知った上でどの金利タイプにするか決めておきましょう。
全期間固定金利型
最初に適用された金利で全期間返済するタイプです。
借入当初の金利が完済まで続くので、返済プランが立てやすくなっています。
3種類の金利タイプの中で最も金利が高くなります。
一部の銀行では、経済動向で固定にも関わらず金利が変わる場合もあります。事前に内容(特約)の確認が必要です。
住宅ローン金利は、固定期間が短いほど低くなり、長いほど高くなります。
固定金利期間選択型
当初固定期間は2年、3年、5年、10年などから選択でき、一定期間金利が固定されるタイプです。
固定金利期間終了後は変動金利や同じ固定金利期間選択型のどちらも選ぶことができ、改めて適用金利が設定されます。
金利は、固定金利期間が終了したタイミングなど、その時々での市場金利を考慮されるので、予め注意が必要です。固定金利期間が終わった後の優遇金利がどうなるのかも含めて、検討が必要です。
借入当初から変動金利を選択できる金融機関もあるので、幅広く検討できます。
変動金利型
昨今の低金利の影響もあり、利用者が一番多い金利タイプです。
市場金利に連動して金利が変動するので、低金利下であれば金融機関も低い金利で貸し出せます。
変動金利では適用金利が半年ごとに見直されますが、返済しやすいように借入当初から返済額が5年間変わりません。万が一、金利変更が必要な時は借入当初の金利から最大1.25倍までしか増えないルールになっています。(125%ルール、5年ルール)
仮に、5年後に市場金利が1.25倍以上上がると、利息額が月々の返済額を上回り、「未払利息」が発生する可能性があります。未払利息は、11年目以降の月々の返済に上乗せされたり、最終返済時に一括返済を求められます。
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変動金利を利用する場合のポイントとして次の3つを意識しましょう。
①金利が0.7%前後など、可能な限り金利水準が低い金融機関を利用する
②返済期間を20~25年と短めに組んでおく
③返済期間を35年とした場合は、定期的に繰上げ返済をしてローン残高を早めに減らすような返済計画にする。
共働き世帯が住宅ローンを組む方法
夫婦共働きの場合、住宅ローンの組み方が3つあります。
家計を考慮した妥当な選択をしましょう。
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単独ローン(夫婦どちらかがローンを組む)
文字通り夫婦のどちらか一人だけが債務者になるという契約形態です。
- メリット:支払いがシンプルで分かりやすい
- デメリット:借入金額が少なくなる可能性がある(一人分の年収のみで審査)
年収が高い、あるいはどちらかの収入が圧倒的に多い夫婦や片方がローン債務を負わないことで家庭内でリスクヘッジをしたい夫婦などにもおすすめです。
ペアローン(夫婦でそれぞれ個別にローンを組む)
物件に対して夫婦がそれぞれでローンを組むという契約形態です。
- メリット:①借入金額が多くなる(2人分の年収)、②夫婦それぞれ住宅ローン減税が使える、③団信には夫婦どちらも加入ができる
- デメリット:①一方それぞれ契約するので諸経費も2倍になるので諸費用が高くなる、②団信は亡くなった人の分だけ保険適用されるので配偶者分は適用されない、③産休等で収入が減少した場合も毎月のローン返済額は変わらない
考えたくないと思いますが、連帯保証人から外れることが難しいため離婚時に揉める可能性はデメリットとしてあると思います。
連帯保証・連帯債務(夫婦で収入を合算させてローンを組む)
夫婦の一方が債務者となり、もう一方が連帯保証人あるいは連帯債務者になってローンを組むという契約形態です。
収入合算できる金額(全額か半額かなど)は、金融機関次第で異なります。
- メリット:①夫婦の収入を合算してローンを組むことができる、②住宅ローン契約は1本分で済むので
- デメリット:①連帯保証人は住宅ローン減税の利用ができない、②連帯債務では、団信に主債務者または連帯債務者のどちらかしか加入できない(金融機関による)
収入合算でも、離婚時などに、契約から簡単に外れることができないリスクがあります。
審査が通らない場合がある
年収面での返済比率が金融機関が求める基準を満たしていたとしても、その他の原因で審査に落ちる場合があります。
ローン審査には年収の他にも、主に下記項目が考慮されます。
- 完済時の年齢が高い(完済時が80歳を超えている)
- 勤続年数が短い(3年未満など)※フラット35も対応可
- 収入が安定していない(自営業、パート・アルバイトは審査に不利)
- 健康状態に問題がある(重い病気にかかっているなど)
- 他に借り入れがある(自動車ローンなど)
- 信用情報にキズがある(クレジットカードの支払いを遅延している等)
- 事前審査で確認した内容と違う(虚偽記載がある)
複数の機関から借入(カーローンなど)がある場合、住宅ローンの事前審査前に一括返済しておくなど、可能な限り対策をしておくことが大切です。
意外に盲点なのが、「クレジットカードの滞納履歴が残ること」です。
信用情報は、借金を返済してから最大で5年間掲載されるといわれています。
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主な滞納対象
- クレジットカードのリボ払い(通常の引落しも含む)
- カードローン
- 自動車ローン
- 携帯端末費用の分割払い
購入する物件においても、新耐震基準(1981年6月以降に建築確認通知書や確認済証が受理された)であるかなどの確認項目があります。
定年までに完済する計画を立てる
住宅ローンの返済計画を立てる場合は、まずは定年までに完済させる前提で考えてくべきです。
退職金で残りの住宅ローンを完済する方(または計画)がいますが、退職金は老後資金として残しておくことをおすすめします。
日本年金機構によると、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)の平均的な年金受給額219,593円となっています。【夫婦2人とも会社員や公務員の前提】
上記の金額を少ないと思うか多いと思うかは人それぞれです。しかし、老後の年金収入のみで住宅ローンの返済をするのは、今以上に苦しくなる可能性があります。
もちろん定年までに完済する計画だと、全く希望物件の予算に届かないこともあります。定年をまたぐ返済期間自体は悪くはないですが、リスクを認識した上でローンを組めているかが大切です。
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住宅ローン1,500万円を組むためのその他の方法
ここでは年収300万円に満たない場合の対策を解説していきます。
300万円未満だからといって諦める必要はありません。
物件金額がどんなに高くても、住宅ローンの借入金額を減らせば支払い自体は無理なくできます。
両親や祖父母から資金援助(贈与)を受ける
両親や祖父母から資金援助を受ける方法です。
自己資金の割合が多くなれば住宅ローンの返済額を抑えることができるため、資金援助を受けることが可能な場合は利用するのも選択肢としてはありです。
ー | 省エネ住宅 | 左記以外の住宅 |
贈与税非課税限度額 | 1,000万円 | 500万円 |
適用期限 | 令和4年1月1日~令和5年12月31日までに贈与 |
所得要件 | 贈与を受けた年の受贈者の合計所得が2,000万円以下 |
備考 | 合計所得が1,000万円以下の受贈者に限り、登記簿謄本上40㎡以上50㎡未満にも適用 |
参照:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(国交省)
省エネ住宅とは(いずれかに該当すればOK)
- 断熱性能等級4以上もしくは一時エネルギー消費量等級4以上
- 耐震等級2以上にしくは免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級3以上
非課税の限度額は購入する時期や物件次第で変わるため都度確認が必要です。
年度が変わると内容が変更されている場合があります。
令和4年度税制改正のポイント
令和4年度税制改正のポイントは以下になります。
- 非課税限度額を良質な住宅について1,000万円とした上で、適用期限を2年間延長
- 中古住宅の築年数要件が、「昭和57年(1982年)以後に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和
- 贈与を受ける方の年齢が20歳から18歳に対象拡大。(民法改正に伴う変更)
自己資金をためてから購入する
自己資金が貯まるまで購入時期を遅らせることも選択肢に入れておきましょう。
自己資金を用意して頭金(物件価格の1~2割が目安)を支払うことができれば、借入金額そのものが減るため、毎月の支払額を減らすことができます。
元本に付随する金利も減り、総支払額も減るというメリットがあります。
頭金を用意する主なメリットは、以下になります。
- 審査に通りやすくなる
- 適用金利も下がる可能性がある
- 売却しやすくなる
住宅の購入における自己資金は「頭金+諸費用」をさします。諸費用は、新築や中古にもよりますが、物件価格の5~10%です。諸費用には引越し費用も含めるとより現実的になります。
2023年になってから、固定金利を中心に金利が少しずつ上昇しているので、過小な自己資金が招くリスクを最小限にできるメリットもあります。
ただ、自己資金を貯めるために時間をかけすぎるのも注意が必要です。月5万円の家賃で5年生活すると、300万円つかっていることになります。
購入前の資金計画のタイミングで専門家に相談しましょう。
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繰上げ返済をする
繰上げ返済とは前倒しでローン残高(元金)を減らすことです。
自己資金を用意できなくても、まとまったお金が手に入ったらすぐに繰上げ返済をすれば、頭金と同様総支払額を下げることができます。
注意点としては、
- 繰上げ返済により手元資金が少なくなり、他の支出に影響が出ないようにする
- 定年退職時の繰上げ返済は、老後資金を考慮する(退職金はなるべく使わない)
繰上げ返済をしたことで、資金がなくなり老後が大変になってしまうのは本末転倒です。
繰上げ返済の申請に一定期間が必要な場合もあるので、取扱金融機関に手続きの確認もしておきましょう。(フラット35は1ヶ月前申請が必要)
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まとめ
今回は1,500万の住宅ローンを組むときの目安となる年収について解説しました。